【公益資本主義】NPO法人HERO 橋本様との対談を実施いたしました。


公益資本主義の取り組みとして、2020年度の利益の一部をNPO法人HERO様へ寄付し、カンボジアに井戸と手洗い場を設置していただくことになりました。


そこで今回はワークショップの一環として、HERO代表理事の橋本様と、弊社代表椙原との対談を実施いたしました。


▼ NPO法人HEROについて

「可能性0%を1%へ」というミッションのもと、
世界各国で経済的・社会的な理由により学校に通えない子どもたちのために無料で通える学校を作り、各国の現実に応じた学ぶ機会を子どもたちに提供。
他にも、メディカルサポート事業、カンボジアツアー事業などの事業を展開し世界の子どもたちに希望を届ける活動を行っています。


▼ HERO代表理事 橋本様について

橋本博司
1978年生まれ。
法政大学経済学部卒業。
NPO法人HERO代表。
株式会社ペイフォワード代表。
「旅するように働く」を人生のテーマにカンボジアの教育問題に取り組む


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❚  NPO法人HEROの活動について


橋本様:

団体を発足したきっかけは、僕が20歳の頃、一人旅でカンボジアを訪れたときの出来事でした。


子供たちが寄ってきて、「内戦の影響で先生を殺されてしまったから勉強を教えてほしい。」と言われたので青空教室のような形で簡単な算数や日本語を教えてあげました。
すると今後は子供たちが「僕は将来医者になりたい」「学校の先生になりたい」と夢を語ってきました。
理由を聞くと、「戦争で沢山の人が怪我をしているから医者になって治したい」とか「学校の先生がみんな殺されちゃったから僕が先生になって教えたい」と目をキラキラさせて話してくれました。
ただ、その子たちは学校に通ってないのでこのままでは絶対医者や教師になれないと思いました。


かたや当時大学生の僕は夢ややりたいことがなかったので、すごくショックを受けてしまい、帰りの飛行機の中で「学校がないって言ってたから、自分がつくってあげよう」とカンボジアに学校を作ることを決めました。


そして団体を立ち上げたのが2011年で、これまでカンボジアに 学校27箇所、図書館8箇所 を建設しました。
更に、健康でないと学校に通えないので現地にクリニックを立ち上げて医療事業をやっていたり、日本の皆さんに途上国のことをもっと知ってもらうためのワークショップや現地で一緒に学校を作るプログラムなども展開しています。


ファシリテーター:

コロナ禍で活動は変化しましたか?


橋本様:

かなり変化しました。


収益的な面については
我々は基本的に寄付いただいた費用は現地の活動で充てるため、運営費はボランティアツアーやイベントの収益によって賄っています。
しかしそちらの収益が軒並み下がってしまいましたので、収益の数字上では半分くらいまで落ち込みました。


一方で、良い気付きもありました。
これまでは僕自身がカンボジアに行かないと事業が進まないと思っていましたが、全く必要がなかったと気付きました。
もう1年以上現地に入れておりませんが、現地には日本人の看護師やカンボジア人のパートナーがいるのでコロナ禍でも学校は5箇所作れましたし、今年も2箇所作る予定ですが滞りなく進んでいます。


ファシリテーター:

今のお話を受けて、HEROという団体の印象をお伺いできますでしょうか。


椙原:

HEROさんは、カンボジアの教育をメインで活動されていると思います。
僕自身も「教育」がすごく大事だという考えを持っていたので、HEROさんの考え方や活動にはすごく共感しています。


やはりまだ発展途上の国では「教育を受けるのであれば家の仕事を手伝う」というようなトレードオフの関係があると思います。

どの子供も生まれた瞬間は可能性が広くあるのに、生まれたエリアや環境によってその可能性が変わってくるというところに違和感を感じていました。
一方で、大人になってから可能性を広げられないのは自己責任だ、という考え方もありますが、やはり「教育」はすごく大事だと感じています。


子供には教育を受ける権利が等しくあり、その教育を受けられる環境を整備する責任は、大人にあると思います。
そのための活動をされている団体は多数ありますが、なかでもHEROさんは実績もお持ちで、子供の精神面や社会インフラにアプローチされた活動は芯をついていらっしゃって、すごく共感します。


橋本様:

HEROのミッションが「可能性0%を1%へ」というものです。


僕は「たまたまカンボジアに生まれたから学校にいけません」というのは不公平だと思っているので、どんな場所に生まれても自分の可能性に挑戦できる、そういった社会をつくりたい。


その為に「教育」が一番大事で、「教育」さえあれば可能性は一気に広がると考えています。



❚  CS-Cの「公益資本主義」の取り組みについて

椙原:

今回HEROさんとご一緒することになった活動のベースにあるのが「公益資本主義」という考え方で、会社の利益の3%を世の中に還元しよう、という考え方です。


このような考え方に至った背景は「継続性」への課題認識からでした。

個人的にNPOの活動に参加した際に、素晴らしい活動をしているのにお金や人材の問題で続かないことが多いと知り、「継続性」に関して課題認識を持ちました。
一方でビジネスとそのような素晴らしい活動に溝があるということにも違和感を覚えていて、それらをくっつけるというのが考えの起点です。


もちろん僕らが直接活動することもありますが、お金だけでもプラスの貢献はできると考えています。
そのため、HEROさんのように第一線で活動されている団体へ還元させていただき、お金という側面からご支援させていただいています。


先ほどビジネスと素晴らしい活動が別の文脈で語られるという話をしましたが、経済とは「経世済民」という語源から来ているとおり、世の中の民を救うために経済があるはずで、本来は一緒であるべきです。


それを実現するためのスタイルとして「公益資本主義」があり、今後は経済格差を含めた様々な問題を解決していくために、この考え方に賛同してくれる企業を増やしていきたいと考えています。


橋本様:

まさにおっしゃる通りだと思います。

NPO業界で一番不足しているのはビジネスの視点なんです。


すべての団体が良いことをしているんですけど、ビジネスの視点、具体的にはマーケティングやマネジメントといった視点が欠けているために苦労している団体が多くあります。


そのためビジネス視点を取り入れて、もっと民間企業的に寄っていくべきだと考えています。
講演会でも「NPOで一番必要なのは、思いとお金のバランス感覚」という話をよくしています。


椙原:

「思いとお金のバランス」まさにおっしゃる通りですね。
ビジネスサイドからNPOやボランティアに人が流れていくことはあるんですか?


橋本様:

そこが課題でして・・・ほぼないんです。


アメリカやヨーロッパでは人材の流動が起こっているのですが日本は一方通行で、優秀なNPOの職員がどんどん流出してしまう状況です。


原因は、給料の低さ。
圧倒的に給料が低いので、優秀な人がNPOに転職すると給料が半額になってしまうというケースがよくあります。

なぜ給料が低いかと言うと、収益が低いから。
日本全体のNPOの50.2%が年間の収益1,000万円以下というデータも出ていまして、やはりビジネス視点が弱いため、給料も上げられず、優秀な人材も来ない、という悪循環になっています。


椙原:

海外ではそれなりに給料をとっていますよね。


やはり「思い」だけでは限界がありますから、良い人材を集めるためにもしっかりお給料をとるべきだと思います。
「切り詰めてやるべきだ」という空気感があると思うんですけど、それはちょっと違うと思いますね。


橋本様:

自己犠牲的なことが尊い、というような空気感がありますね。


椙原:

自分も満たされて、さらに周りも満たす、というかたちになってほしいと思います。



❚  企業の、社会に対する関わり方について

橋本様:

多くの企業がSDGsへの取り組みをしていますが、企業のイメージアップを目的としているケースが多いと感じています。


ただ、SDGsは「このままでは実現できない世界的な目標」であり、今までと同じことをやり続けていては実現は難しいと考えています。


つまり、企業の存在意義自体を問われているものだと思っていて、経営理念や経営戦略からSDGs・社会貢献に対する見直しをかける、そのぐらいの覚悟が必要だと思っています。


そうなってくると海外では一般的になっているように、企業のパートナーとしてNPOが注目されてくるのではないかと思います。


椙原:

会社がなぜ存在するかというとミッション・ビジョンのためですが、更にいうと「世の中の課題解決のため」だと思っています。


経営者であれば、理想と現実・もしくは理想と合理性というような相反する矛盾を抱えることがあると思います。
ただ、そうした時にもとにかくバランスが大事だと思っています。


論語の教えの中に、「中庸」という話があります。
「中庸」というのは常に物事の真ん中をいく、どちらにも行き過ぎない、ということ。
つまり、バランス感覚としては真ん中を貫きながら、理想と現実の両方追っていく、これがすごく大事なのかなと思います。



❚  NPO法人HEROの今後の活動の展望について

橋本様:

具体的な話になってしまいますが、貧困問題がかなりひどい状況で、そこを解決したいと思っています。


絶対的貧困と言われている1日1.9ドル以下の生活している人たちへのアプローチとして、農業、オンライン診察、コミュニティバスなどを計画しています。


また、実はコロナウイルスがうちの団体にとってすごくチャンスでもありまして、じっくり自分たちの活動を見直して、次のステップに進むための深化の時期だと考えています。


そこで実は僕も4月から大学院に進学し、途上国専門の教授のもとで途上国の貧困問題を研究テーマに学んでいて、今後は数値的な評価を出せる団体になりたいと考えています。

「学校が何個建ちました」「子供が何人通えました」というのは目に見える評価ですが、そこからどんなインパクトが生じているのかというところまで測りたいと思っていて、この先2年程かけて、活動のインパクトまで評価できる状態を目指したいと思っています。


椙原:

それが可視化できたら面白いですね。
インパクトまで明確になったら、こういった活動はもっと進む気がします。


橋本様:

2019年にノーベル経済学賞を取ったランダム化比較試験という手法がまさに開発経済論でインパクトまで数値化できるというもので、個人的には非常に面白いなと思っているところですね。


まさにおっしゃる通りで、これできたら相当寄付集まるなと思っています(笑)
これまでは様々な変数があり本当のファクトのところが見えなかったのですが、その変数をどんどん解除して、事業そのものの効果を図っていきたいなと。



❚  CS-Cの今後の活動の展望について


椙原:

まずはとにかく、CS-Cのビジョンである「ビジネスと社会貢献が両立する世界をつくる」これが公益資本主義のコンセプトであり、僕らの役割だと思います。


HEROさんのように現地で実際に活動されている団体があって、僕らはそういった団体とビジネスの架け橋だと考えたときに、CS-Cとしてはとにかく成長。

成長することで3%の絶対額が増え、更に公益資本主義の考え方に賛同する企業増やしていく。


定量的なところで言うと、国内で世の中から寄付を集めている団体に日本ユニセフがあります。
日本ユニセフは個人・法人合わせて年間で200億円ほど寄付を集めているそうです。
仮に同じ金額を民間の企業からCS-Cと同じく利益の3%というルールで寄付したとすると経常利益で1兆円くらい必要となり、無謀なように思えます。
しかし、経常利益1億円の企業を1万社あつめれば1兆円になりますし、経常利益1千万円の会社を10万社集めると1兆円になります。
10万社というとかなり多く感じますが、日本には会社が380万社あります。
つまり3%の会社が賛同してくれれば成り立ちます。


そのため、この活動に賛同してくれる企業を増やしていくことも僕らの仕事です。
HEROさんのような団体とはこれからも是非ご一緒したいですし、今後どのような団体とご一緒するかについては
今もやっているように、社員自身が支援したい団体を選び、そこに対して会社として拠出をしていく、このスタイルがすごくいいなと思っています。


繰り返しはになりますが、まずは会社として成長すること、そして賛同企業をいかに増やすか、とにかくここにフォーカスをしてやっていきます。


橋本様、本日はありがとうございました。

※感染予防対策を実施した上で撮影しております